A君っ。
ちょっと聞いて欲しいことがあるの。
Qさん、泣いちゃって、どうしたの?
実はね、友達からすすめられて精神科ってところに行ってみたんだけれど・・・。
お医者さんに、”統合失調症”って診断されたの。
ふむふむ。
でも、”統合失調症”って何なのかよくわからなくって。
脳の病気とは言われたんだけれど、ピンとこないままなんだー。
いろいろなことに詳しいA君なら、何か知っているかなと思って。
そっかあ。
じゃあこれから”統合失調症”っていう病気について説明するね。
うん。
まずはね、Qさんもさっき言っていたように、”統合失調症”っていうのは脳の病気なんだ。
脳の神経物質の調整がうまくいかなくて起こる精神病なの。
精神病かあ。
なんだか怖い響き・・・。
怖がらなくてもいいよ、Qさん。
お薬できちんとコントロールすれば、社会人としてもきちんと生活できるからね。
実は日本じゃ120人に1人は発症するといわれているんだ。
”統合失調症”は決して珍しくない病気なんだよ。
そっか!
でも、お薬を飲み始めてからすっごくだるい感じなの。
この病気って、そういうものなの?
うん、実はね、”統合失調症”の症状は、
大きく分けると陽性症状と陰性症状っていうものがあるの。
その他の症状もあるけれど、
今は陽性症状と陰性症状についてお話するね。
Qさんはたぶん今、陰性症状が出ている状態なんだ。
陽性症状と陰性症状?
うん。
簡単にいえば、陽性症状っていうのは
「あってはいけないもの」がある状態なんだ。
たとえば、他の人には見えないものが見えたり、
他の人には聞こえないことが聞こえたり。
周りの人みんなが自分の悪口を言っているような気がしたり、
誰かに監視されている気がしたり。
食事が出ても、毒を盛られているんじゃないかって疑っちゃったりとかね。
人によって、いろんな症状があるんだよ。
ああ、以前のあたしと一緒だ。
そして、陰性症状っていうのは、
陽性症状とは逆で「なくてはならないもの」がない状態なの。
やる気とか、生きる気力とか、集中力とかがなくなって、ずっと寝ていたりとか。
”うつ”とよく似た感じっていえばわかりやすいかな。
でも、お薬を飲み始めると、陽性症状がスパッと消えて、
陰性症状になる人がほとんどなんだ。
でも、きちんと療養すれば、段々と気分も落ち着いてきて、
社会復帰もできるようになるんだよ。
そっかあ。
じゃあ、あたしは今、とにかく休めばいいんだね。
そう、そういうこと。
Qさんみたいに症状が軽いうちにお薬を飲み始めると、
陰性症状の期間も短くて済むらしいよ。
やっぱり”統合失調症”も、早期発見、早期治療が大切なんだ。
うん、わかった。
でも、陽性症状っていうのが消えても、お薬を飲み続けなくちゃいけないの?
そうだよ。
ちゃんと飲み続けないと、せっかく消えた陽性症状がまた出てくるんだ。
つまり、再発しちゃうの。
そうすると、前回より強い陽性症状が出ちゃったり、
回復にも時間がかかることがあるんだって。
え・・・怖い。
それじゃ、体がなかなか動かなくっても、お薬は飲み続けなくちゃいけないんだね。
うん。
とにかく、お医者さんのいうことはちゃんと聞くこと!
それが一番大事なことなんだ。
絶対に、自分の判断で、お薬をやめたり、減らしたり、
増やしたりしないように気をつけてね。
何かつらいこととか、知りたいことがあったら、まずはお医者さんに聞くといいよ。
そのためにも、普段から聞きたいことをメモする習慣をつけるといいね。
わかった。
メモして、それをお医者さんに見せたり話したりすればいいんだね。
うん。
お医者さんの目の前だと、緊張して話せなくなる人も多いからね。
メモをとる方法は、とても伝わりやすくて便利だよ。
あ、そうだ。
お医者さんに、「とにかくよく寝るようにしなさい」って言われたんだ。
本当にそうしなくちゃいけないことなの?
うん。
Qさんは前まで、脳を活動させすぎちゃって陽性症状が出ていたんだ。
だから今は、眠って脳を休ませてあげることが大事なの。
そうすることで次第に動けるようになってくるよ。
そっか。
教えてくれてありがとう、A君。
今はとにかく、休むことに専念しようっと。
そうだね。
また何か知りたいことがあったら、気軽に聞いてね。
うん、ありがとう。
じゃあまたね。
うん、くれぐれも焦らず、ゆっくり休んでね。
お大事に。